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極北ラプソディ

極北ラプソディ極北ラプソディ
(2011/12/07)
海堂 尊

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凱旋後、花房師長とともに北へ渡った速水先生のその後が知りたくて読みました。
正直に言うと、面白くなかった。

物語は破綻した極北市で唯一の市民病院に世良先生(速水先生の医局の先輩)がやってきて、市民病院の再生を行っていく。
そこには、前作の主人公今中先生もいて、物語は今中先生主体で描かれる。
二人しか医師がいない病院では、救急に対応できないため、すべての救急患者は、隣の雪見市にある極北救急救命センター(速水先生が副センター長を務める)に運ばれることになる。
そのため、たとえ軽症の患者でも山道を1時間かけて運ばれるし、近くにいる重症患者も市民病院では診ずに運ばれる。
それが医師が二人しかいない病院を運営していくために必要だと世良先生は考える。
だが、病院の常連だった患者(だけど診療費は払わない)が、急病を起こし、極北救急に運ばれた後、亡くなった。
報道は、市民病院で診ていたら助かったのではと責め立てる。
その対応のため、世良先生の右腕である今中先生は、速水先生のいる極北救命センターへレンタルされ、速水先生がようやく登場。

速水先生がいる極北救急はドクターヘリを導入し、患者の救命率を上げる。そして常勤の医師が5名おり、運営体制も今中先生の目からみて理想的な救急病院に見える。
そんな中、「ジェネラル・ルージュの凱旋」では、あれだけ導入に力を入れていたドクターヘリに速水先生は乗らないと宣言している。
過去に1度だけ乗ったけれど、救命医がヘリに乗って患者の下へ向かうより、運ばれてくる患者のために病院で待機しているほうが、医師のリソースを確保できるという考えを持っているから。

そんな中、極北救急救命センターの桃倉センター長が息子のスキー大会を見学中に雪崩に巻き込まれ意識不明の重症となる。
悪天候でドクターヘリを飛ばせないというパイロットに無理を言ってヘリを飛ばさせる速水先生。
速水先生自身がヘリに搭乗し、センター長の命を向かうために現場へ向かう。

物語は、破綻した市の医療体制の再生を図る、今中先生と世良先生。
ドクターヘリを運行し、地域の救急医療を一手に引き受ける極北救急で、患者の命を救うこしか考えていない速水先生と、救命を維持するために効率よくセンターを運営しようとする桃倉センター長やフライトドクターを任されている伊達先生との衝突。
この二つの物語が描かれているんですが、どちらも地域医療の問題点を描きたいんでしょうけど、どちらか1つだけに焦点を当てたほうが、分かりやすく面白かったと思います。
主人公も第一部は今中先生で、第二部は速水先生っぽいですが、第三部では世良先生のようで、ころころと主役が変わるので何を伝えたいのは中途半端な印象です。最後のほう、今中先生の印象がすっかり薄くなってますし。
中途半端といえば、花房師長。
凱旋のラストでは、速水先生に付いて北へ渡り、北で渡った後の速水先生と花房師長の様子もちらっと本人の口から描かれますが、正直花房師長は何なんだ?という感じです。
ようは、世良先生と速水先生の間を行ったり着たりしているんですが、凱旋のラストであれだけ盛り上がったのに、この極北ラプソディでは拍子抜けです。あの凱旋のラストは一体何だったの?
海堂先生は、恋愛ごと特に女性の描き方が下手だということがよくわかりました。

また、速水先生の描き方も残念です。
凱旋では、我儘を言うけれど、根底には患者の命を救うためという思いがあり、カリスマ性を持った医師という印象だったんですが、この作品では、ただの我儘な先生にしか見えません。
速水先生の患者の命を救うために手段を選ばない医療を続けると、赤字になるというのは凱旋のときから分かっていましたが、極北の桃倉センター長は、物品の無駄をなくし、効率よく救命を運営するのに長けているようで、すっかり速水先生が小物に見えます。
それは、速水先生の弱点なのかもしれませんが、凱旋からの印象が強すぎて…。
小説新潮に載った速水先生が主役の短編は、この作品のその後のようで、速水先生の救命医に対する考え方が少し変化したようで、今後の速水先生の成長に期待したいところです。

長くなりましたが、この作品。
他の海堂先生の作品に言えることですが、海堂先生の他の作品を読んでいないと理解できないところが多いです。
私は、ほとんど読んでいるのでわかりますが。
世良先生と速水先生との関係。そこの間に入る花房師長。
今中先生の上司に当たる極北大の水沢教授が速水先生に対して信頼を寄せている理由。
また、前作極北クレイマーに描かれた産婦人科医逮捕事件で、専門分野ではない水沢教授が協力する理由。帝華大の清川教授との関係。
世良先生に接触する彦根という人物。

このあたりを理解するには、少なくとも
・ジェネラル・ルージュの凱旋
・ひかりの剣
・ブラックペアン1989
・ブレイズメス1990
・イノセントゲリラの祝祭
・ジェネラル・ルージュの伝説
あたりを読んでいないと、分からないと思う。最低でも上の3つぐらいは。
もちろん前作の極北クレイマーも。
そう思うと、海堂先生の作品を読むのは、結構つらいかもしれないですね(笑)
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「極北ラプソディ」海堂尊
赤字建て直しをはかる世良院長、目前の命を必死に救う救急医の速水、孤島の診療所の久世医師の姿をとおして、再建の道をさぐる。メディカル・エンターテインメント第2弾。 物語は
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